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最高裁判所第二小法廷 昭和30年(オ)281号 判決 1956年10月12日

東京都中野区大和町三五七番地

上告人

齊藤忠一

右訴訟代理人弁護士

安藤一二夫

同都台東区谷中清水町一番地

被上告人

植村和吉

右当事者間の執行文付与に対する異議事件について、東京高等裁判所が昭和三〇年一月二七日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があつた。よつて当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人安藤一二夫の上告理由について。

原判決は所論二の如く「のみならず、本件執行文付与に際しての承継の証明として成立に争のない乙第三号証中の昭和二十七年七月五日附執行吏の点検調書の謄本(甲第十五号証―原本の存在についても当事者間に争がない)を以て必要にして且つ十分と考えられるから、この点に関する控訴人の主張は到底これを採用し難い。」と判断しているのであり、右判断は相当と考えられるから、所論一に関する原判示の当否を判断するまでもなく、右結論としての判示は正当であるから、論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)

昭和三〇年(オ)第二八一号

上告人 斎藤忠一

被上告人 植村和吉

上告代理人安藤一二夫の上告理由

一、原審判決は左の通り法律上の違背があると信じます。

執行文附与に際し東京地方裁判所昭和二十六年(ヨ)第二二三七号仮処分事件の点検調書のみを以つて承継執行文附与したるは違法なりと主張しているに不拘、原審は右は民事訴訟法第五二二条により形式上の瑕疵を攻撃するものであつて本件に於てはこれが主張は許されないものと断じてるが右大審院は昭和八年(ネ)第五一四号事件に於て斯かる主張は執行文附与の異議に於ても亦許さるべきものであると判断しているので原審の此部分に対する判断は違法である。

二、一方而して右の如く誤つた判断の下に更に原審は承継執行文の証明書として点検調書のみで充分なりと断じているが第一項の如く異議の訴では許されない主張ならば本案に対して証拠認定する権限ないものと信ず。

以上

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